Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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解禁日の夜に。

 
家に帰れば留守番役とも言える弟の他に男が3人リビングのテーブルを囲み座っていた。
「……ああ、今日だったか」
「それはないでしょ……」
信じられないとでも言うようにパーカーを着た細身で長身の男が言う。
「こちとら日付感覚も曖昧だよクソ」
着替えるべくさっさと部屋へ入り、Tシャツにジャージ姿でリビングに戻れば「本当変わんねぇな」と今度はワイシャツ姿の他の奴らに比べれば少しだけ体格のいい男が笑う。
「今更お前らの前でめかしこんでもなー」
「そりゃそうだ。あ、先始めてたよー」
私の一言に笑って同意するのは今まで口を開かなかった小柄で童顔の男。こいつが一番何だかんだとえげつない。
「じゃぁ、俺は帰るから」
私が部屋から出てきたのを見て弟はそう言いながら腰を上げる。その顔は「こいつらに付き合ってたら明日は屍になるしかない」と雄弁に語っている。
「バスある?」
「ギリ最終。それじゃ」
私の問いにそれだけ答えて彼は足早に部屋から出て行く。ターミナルからそんなに遠くない立地だ。とんでもない何かが無い限り恐らく問題は無いだろう。
「ちゃんと今年も買ってきたし」
童顔がそう言いながらドンドンドン、とテーブルに追加して置かれた未開封の瓶は3本、開封されたものと合わせれば合わせて4本。種類は2種らしく、ラベルが2本づつ違う。何を隠そう本日解禁ボジョレーヌーボー。
「セコマでか」
「セコマを甘く見るなよ」
「見てねぇよ。ホットシェフ最高」
地元に根を張るコンビニエンスストアは無駄に輸入ワインの品揃えが良い。業者を使わず自社で輸入をしているのだとか。どこへ進んでいくんだあのコンビニは。その恩恵は菓子コーナーにもそっと存在している。ハリボーグミがあるコンビニってどういう事なの。
「っていうか、ホント私の家がたまり場になりつつあるよな」
「俺らは年イチだろ」
私がそう呟くと、ガタイが良い方がズバリと突っ込む。
「いや、おまえらだけじゃなく他のヤツらも来るからな」
今回のメンツは高校時代の悪友達だ。長身の九里は先輩であった十河サンと同居しているし、ガタイの良い星は少し郊外で働いていて家もそっち。童顔の知花に至っては本州に出ていて毎年この時期にこの為に帰省するのだ。
「それは僕たちには関係ないし」
ねぇ?と九里と知花は揃って我関せずを通し、星も煙草に手を伸ばす。同じコンビニで適当に買ってきたらしい食い物をつまみにその瓶の中身をプラカップに注ぐ。このメンツでグラスなど洒落たものは使わない。
「っていうか、何で毎年ボジョレー解禁日に集まることになったのかって話だよ。私ワイン飲まないのに」
「僕と九里はワイン飲むし。ナカバだって酒なら何でもいいし」
「醸造酒苦手なんだよ……サイダーかCCレモンあったっけ……」
「出た。笹野のワインサイダー割」
「赤ワインをCCレモンで割ったら最高だからな!」
「アメリカンレモネードもどきだ。」
冷蔵庫を漁りにいけば、恐らく格臣が買ってきたものだろう、少し減っているCCレモンのボトルがある。有り難く拝借して戻ればプラカップの中で赤ワインとCCレモンを注ぎ込みフロートさせる。美しく分離した2色の色をくるくると混ぜ合わせながら、私は単純な疑問を口にする。
「っていうか、4本ってそれどんな勘定で買ったの」
「そりゃもう1人1本でしょう」
そう言ってのけた知花は、どうしても私を吐かせたいらしい。
可愛い顔して「今日は朝まで飲むからね!足りなくなったらセコマ行けばいいし!」なんてのたまうのだ。
「あ、ウチの近くのセコマ営業時間23時まで。北2まで行かないと24時間営業無いわ」
私の言葉に本州へ出てた知花だけが「嘘でしょ!?」と叫び、私を含めた3人は笑う。そうして夜は深まっていくのだ。

 

 

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セコマ信者です。

 

| 23:03 | 飲んで喚いて呑まれて飲んで。 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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