Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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Let's look at the new world ! : 05
 
昼下がりのカフェでテーブルを挟んで向かいに座るサトシさんは携帯を弄って私の写真を撮っていたと思えばおもむろに口を開きだす「今夜、エルマー達来るって」
「……達?」

そんな会話をしたその晩、3人揃ってやって来た見知らぬ男達と対面したのは、サトシさんの家の玄関口である。サトシさんはと言えば、手が離せないと叫んでインターホンが鳴り響くリビングで英語で書かれた旅行本と格闘していた私に玄関へ出るよう指示を出す訳だ。玄関に立つのはのほほんとした雰囲気を醸し出しふんわりと微笑んでいる男性と、気の強そうなイケメンと、その後ろで苦笑を浮かべつつもどこか楽し気にする男性だ。タイプの違う3人の男性に会釈をすれば、イケメン以外は優しく笑って会釈を返す。一拍遅れてイケメンもぎこちなく軽く会釈をするのだけれど。

「……どれだ」
思わず口から突いて出たその日本語に、一人だけが日本語を理解するのだろう。最初に苦笑を浮かべてた男性がグッと噴き出しそうになったのを堪えるような音を上げ、その後は小さくクツクツと喉で笑いだす。その様子を見た残りの二人は彼を怪訝そうに見つめていた。彼は笑いながらも気安そうな口調でドイツ語を残りの2人に投げかける。
そうして彼は私に向き合い、流暢な日本語を私に投げかけるのだ。
「いきなり笑ってごめんな、俺は雨宮時嗣。こっちがヴェルナーで、あっちがエルマー」
雨宮さんと名乗った男性が、ついでと言うように残りの2人の名も明かす。成程のほほんさんがヴェルナーさんで、金髪イケメンがエルマーさんか。そんな雨宮さんに釣られて私も変わらぬ日本語のまま口を開く。
「あ、笹野葎花です。立ち話も何ですし、どうぞ」
雨宮さんは2人にドイツ語で話しかけ、4人でぞろぞろとリビングへと向かった。

「玄関で何やってたの」
私に投げかけたのか、やっと手が離せたのかリビングでくつろぐサトシさんも日本語で言葉を投げる。
「いやー俺が笑っちゃって」
雨宮さんはそう言って未だ笑いが引かないようにケラケラと笑う。
「トキがそんな笑うなんて珍しいね。ヴェルナーじゃあるまいし」
サトシさんもサトシさんでそんな雨宮さんの調子にあははと笑い、再度、私に視線を投げて「自己紹介は済んだ?」と問う。
「一応?雨宮さんから残りのお2人サンの名前は聞いた」
そう返せば、ならば良し。とサトシさんは満足気に頷き、言葉を続ける。
「んー、まぁ僕とトキは日本語分かるけど、エルマーもヴェルナーも日本語はさほど出来ないんだよね。葎花ちゃん英語は出来たっけ?」
そう問われれば頷いて「ただ、早すぎたり難しい単語は聞き取れない。ずっと外国語と離れてたから自信ないけど、お互い努力するって事で」と答える。
「じゃぁ、今夜は英語で。Heute Abend sprechen auf Englisch. Elmar , Wernher , ist es gut ?」
サトシさんが雨宮さん以外の2人にそう問いかければ、2人は笑いながら「all right!」と答える。

そうして5人の奇妙なディナーは幕を開けたのだ。


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笹野はこの後めちゃくちゃ英会話した。
辞書と紙とペンが手放せなくなりそうな予感を察知。
 
| 21:34 | うちの子クロスオーバー | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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