Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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Let's look at the new world ! : 02

「夢を見たんだ」
その頃、実家に遊びに来ていた叔父である彼はまだ幼かった私ににそんな事を唐突に話し出した。
「世界が全部消えちゃって、僕だけ一人残っちゃうような夢だったんだよね」
「サトシ一人になっちゃうの? みんな死んじゃって?」
「そう、皆死んじゃうのに、僕だけが残っちゃうの」
今思い出しても、小学生生活の折り返し差し掛かるか否か程度だった年齢の私に話すような話ではないよな。とは思う。きっと、あの時そういう夢の話だとか、物語の話をする相手というのが私位しかいなかったのだろう。弟は更に小さかったし、彼にしてみれば姉夫婦――つまり私の両親と話すような話でもないだろう。そう言った話を話すのに丁度いいのはきっと従兄の宇宙くん辺りだろうけれど、サトシさんは母方の叔父で、宇宙くんは父方の従兄。面識はきっと今でも無い。
「それじゃぁ、イヴを見つけなきゃだね」
その頃丁度絵本にされた聖書だとか神話だとかを読むのがブームだった私は少しだけ考えてから何の気もなく、そう言った事は覚えている。彼以外の人間が居なくなったのであれば、彼は新しいアダムになるという事だと。そうしてまた人間が増えていけば良いのだと。
「産めよ、増えよ、地に満ちよ、ね」
そんな事を口にした彼は、少しだけ何かを考えるような顔をして「もしもそうなった時は葎花ちゃんの話を思い出すことにするよ」とふわりと笑って見せた。
「じゃぁ今度は、サトシの行った外国の事がききたい!」
「んーそうだねぇ、じゃぁ僕が住んでる国の話からしようか」
そう言って彼は色々な国の話をしてくれた。そんな彼の話に私は聴き入ってもっともっととせがむのだ。「次に遊びに来るときは写真も一杯持ってくるよ」まだ、ネット上でのデータのやり取りなんてしていなかったような。そもそもデジタルカメラよりもフィルムカメラの方が一般的だった時代だ。彼はそう言って、幼かった私の頭を撫でながら更に言葉を重ねる「葎花ちゃんも大きくなったら行ってみると良いよ。その目で見るのはまた違うだろうし」と。

「本当に来ちゃったよ」
それから月日は流れ20年以上の時が流れた今、現在。5年程勤めた会社を辞めて自由の身だとでも言うようにほぼ衝動的にパスポートを取り、適当な期間の往復航空券を取って荷物すらも適当に用意して異国の言葉が飛び交う空港に立っている。
「やぁ、来たね!」
そう言って笑いながら出迎えるのは幼い頃に私を焚き付けた叔父その人で。数日前にメールで遊びに行くと送っておいたら迎えに来てくれると返信があったのだ。
「まだ人類は滅んでないから来てみたよ」
そう言って笑って見れば、彼も「よくそんな事覚えてるなぁ」と笑う。
「最後の人類になったとしても、最初の人類に変わればいいだけの話なんですよ」
口端だけ上げて私より身長が高い叔父を見上げて笑って見せれば「相手が居ればの話だけどね」と含みのあるような笑みを見せた。


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笹野と久慈さんを書きたかった。
仕事辞めた笹野が期限も切らず海外に高飛びする話を書きたい。ビザ無くてもシェンゲン協定加盟国周遊なら最長3か月位はぶらつけるね!資金はどうなってるんだろうね笹野!

(第96回フリーワンライ参加作品:お題:最後の人類)

 
| 21:01 | 飲んで喚いて呑まれて飲んで。 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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