Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK |
| CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS |
ホウレンソウの重要性
 
「てっめぇほうれん草食わすぞ!!」
夕日に照らされる社内に部長の雄叫びが響いた。
「お、落ち着け。俺が悪かったから、落ち着け」
社内にやっと姿を見せた社長に食ってかかる部長の形相はそれはもう恐ろしく、ココって本当に会社だっけな、なんてつい現実逃避をしてしまう。部長と社長だけを切り取れば、完全にヤクザ映画のワンシーンだ。但し部長の持っている緑色の野菜と彼女の叫ぶセリフを除けば、だが。この光景も一度や二度の事ではないから俺はもう慣れてしまったが、隣の席の中途採用君ははじめて目撃する光景だからか面食らっている、というか怯えも見せている。うちの会社のアクティブすぎる社長がつい何も言わずに社外に出て顧客獲得してくるのは良くあることで、丁度社長に決裁を求めに社長室に行った部長が社長の不在を知ることも良くあることで。それが発覚した後に顧客獲得して満面の笑みで帰ってきた社長にキレる部長も良くある光景だ。学習してくれ、社長。仕事は出来るんだから。
「ホンットいい加減にホウレンソウやれねぇんならマジでほうれん草食わすからな、生で」
「せめて調理してくれ」
思わず突っ込んでしまったらしい社長に部長は更に目を剥く。
「そういう!問題じゃ!ねえよ!!!」

「あの、先輩」
「何だね中途君」
隣に座ってた中途君が恐る恐る小さく声をかけてくる。部長に見咎められないように、こっそりと。
「その呼び方やめてくださいよ。じゃなくて、舞島部長どうしちゃったんですか……普段もっと、静かでカタい人ですよね……?」
すっかり怯えきったような中途君の言葉に思わず俺は噴き出す。そういやコイツは"笹野組の若頭"見てないんだっけ。と。
「いや、舞島部長は結構愉快な人だよ。ふざけてたり怒ってないと生きてられないタイプの人間だし」
そう答えてやれば信じられないとでもいうような顔をして俺を見てくる中途君。まぁ、ローテンションで黙々と仕事して、喫煙室の端で静かにタバコを吸ってる部長とは似ても似つかない光景だもんな。そもそも生のほうれん草突きつけながら社長を怒鳴りつける光景がシュールすぎる。このネタやるために定期的にほうれん草ストック買ってる位だからな、あの人。
「ていうか、愉快な人じゃないとこんなシュールな光景作り出す為にほうれん草をデスクに常備しないって」
そういって俺もついに噴き出してしまえば中途君が思わず大きく声を上げる。
「えぇ!?あれ常備なんですか!?」
「いや、常備じゃなかったら何であるんだよ、オフィスにほうれん草」
中途君の声に更に俺の腹筋が悲鳴を上げたところでこちらの会話に気付いたらしい部長が俺にほうれん草を投げつける。ちなみに社長は爆笑してた。
「イツキてめぇも仕事しろ!オガてめぇもキリキリ仕事しやがれ!私はさっさと帰って旦那と子供に飯を作らないとならないんだっつの!」
今日の食事当番私なんだっつの。と吐き捨てる部長にこの人って以外と家族思いだよなぁ。と認識を新たにした。


—————————————————


舞島家は食事当番制らしい。(比率は不明)


 
| 20:10 | 飲んで喚いて呑まれて飲んで。 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
Comment








<< NEW | TOP | OLD>>