Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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割れ鍋に綴じ蓋
 
酒は飲んでも飲まれるな!の数時間後)

 
「ちょっとどうすんのよ、ソレ」
学生時代の失敗やら、最近のヤバイヤツに引っかかった話やらを延々と披露され続けたその本人は、カウンターに突っ伏してガチ寝の体勢に移っているし、時計を見ればそろそろ日付が変わる時間にもなっていた。この店のヌシであり、俺や隣の席で潰れている女の学生時代の仲間でもあるママは呆れた様子で彼女を指差した。
「うわ、さっちゃん寝たのか」と数十分前から他の客の相手をしていて不在だったリサちゃんもお見送りから戻ってきた様子で再び俺とは反対側の彼女の隣の席へと腰掛ける。
「この子ホント相変わらずねぇ、アホみたいに強い酒ガンガン呷って寝落ちって」しかも、次の日起きたらケロっとしてるんだから、ヤんなっちゃう。と学生時代何度か彼女に潰された経験を持つママは呆れながらも笑みを含ませた声を出しながら彼女の頭をつつく。
「笹野だって二日酔い位はなってたけどね」
「え、ホント?」
驚きを隠せません、という顔をするママとリサちゃんにホントホント、と俺は思わず笑ってしまう。
「サークルの飲みでね。適当に端っこで空気になりながら飲んでたら面倒くさくなってやっすい焼酎割らずにストレートやって死んでたことがあってさー」
二人とも、言葉こそ出さなかったけれど、その顔には何を言いたいのかがありありと書かれていた。
『コイツ、馬鹿だ』
「うん、俺もそう思うよ」

「っていうか、アンタも明日仕事休みなのか?」
「いいや、仕事だね。ウチの休みはカレンダー通りだから」
明日っていうか今日になっちゃってるけど。と笑って見せれば、リサちゃんは「俺でよければさっちゃん送ってくから気にしなくていいぞ?さっちゃん、明日休みつってたし」と申し出てくれる。
「いや、俺連れて帰るよ。慣れてるし」
こういうことは度々ある為、俺が泥酔寝落ちの笹野を保護していく事は少なくない。笹野の分まで会計を済ませ、揺すっても叩いても起きる気配の無い彼女を担ぎ上げて店を出る。
「武将アンタほどほどにしときなさいよ」
「何言ってんのママ、俺は弱ってる笹野に弱いだけだって」
久しぶりの麟太郎から呼ばれるかつてのあだ名呼びとその後に続く言葉に、俺は笑顔を見せてそう返した。


人一人を担いだ姿がドアの向こうに消え、彼らを見送りに行っていたリサが一人、カランとドアを開け店内へと入ってくる。
「俵担ぎとかスゴいスね……あのままタクシーの中にさっちゃんのコト、ぶち込んでましたよ」
タクシーを捕まえてそれが発車するまで見送ったらしいリサはそんな感想を報告する。「あの二人、昔っからああなのよ」カウンターの内側に隠してたタバコに手を伸ばし、一本咥えて火をつけたらそれを深く吸い込む。
「あっ、麟サン禁煙じゃなかったんですか?」
「やめよやめ、あーもーやってらんないわ!」
きょとんとするリサに、もう上がって良いわよと言いながら店仕舞いの準備をする。
「もう、お客様も居ないし、たまには良いじゃない。早い店仕舞いも」
「そうですねぇ、じゃあ俺、他の子にも言ってきますね」とカンカンとヒールを鳴らし、残りの子達が固まってはしゃいでいるテーブルへと向かって行く。

「ったく、本当あいつら割れ鍋に綴じ蓋なんだよ」とひとりごちながら灰皿にまだ少しだけ長いタバコを押し付けた。


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大学時代によくつるんでた以上の何かがある模様。





 
| 08:19 | 飲んで喚いて呑まれて飲んで。 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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