Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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死して尚、君と出会おう
 
設定

・幽霊は「自分が一番充実していた時の姿」で現れる
・「本当に幽霊になった相手に会いたい」と思っている人間には幽霊を見ることは出来ない
・幽霊が見える相手だと触ることが出来る
・幽霊が見える人と見えない人がいる


相変わらずの書きたい所を書きたいだけ。


幽霊は幽霊と再会する

「よ、久しぶりだな」
目の前で、そう微笑む彼は、あの頃と変わらない姿で。僕は思わず彼の元へと駆け寄り、その腕の中に飛び込んだのだ。
「会いたかった、ごめん、ごめんなさい……セナ、ごめなさい」と、拙い謝罪の言葉を紡ぎながら。

成る程僕は死んでしまったのか。カラカラと笑う彼の隣でその事実を受け入れる。過労に気付かず過労死なんて、僕らしい。今日の夕飯はハンバーグだったのに食べそびれたのが悔やまれる。仕事部屋の机で眠るように突っ伏す僕の死体を僕は眺めていた。その死に顔は穏やかで、セナも、「心筋梗塞にしては穏やか過ぎるだろ」と死体の方の僕の髪を撫でる。
「そんな事言われてもさぁ」
「でも、よく生きたな」
そう言って、今度は僕を見て微笑む。「善く、生きたよ、ヴィン」
幸せに、なれたか?と続けた彼に、僕は自信たっぷりの笑顔を浮かべて「幸せだったし、幸せだよ」と返すのだ。



幽霊二人の娘観察

「ソフィアが可愛くてつらい」
隣に座るヴィンは顔を覆いながらそう呻く。
「ソフィーってお前似だよな、可愛い可愛い」
ふわふわとしたブロンドをショートカットにしたヴィンの娘はヴィンがそうして居たのと同じようにパーカーに白衣を羽織り彼の職場でもあった研究室をパタパタと走る。俺たちは見られない事を良いことに研究室の机の上に並んで座りその様子を眺めて居た。
「……なぁ、ひとつ聞いていいか」
折角ヴィンと話せるのだから、前々から気になっていた事を訊ねようと、そう問いかける。暢気に「なーに?」なんて間延びした声を上げる、姿こそ自分より随分と年上なヴィンはこちらを見上げながら首を傾げる。
「お前もお前の相手もそんな身長高くないよな」
「そうだね」
「ソフィーは身長高いよな」
「そうだね」
「……お前さ、何の遺伝子操作かました?」
そう問えば、エヘッなんて可愛子ぶった笑顔を見せるヴィン。ただ、その外見は50前後のナイスミドルである。35歳(享年)の俺よりも随分と年上の男にエヘッなんてされると軽く引く事を知った。
「ちょーっとだけ、セナのも入れたんだ、ソフィアの長身はセナ譲りだね!」
「マジか」
ソフィーは俺の娘でもあるらしい。死んだ後に娘出来てたとかまさかの展開で俺は固まるしかなかった。というか俺は死んでるというのにその遺伝子はどこから。そんな俺の疑問に答えるように「セナが生きてた時にね。冷凍保存ってすごいよねー」とカラカラと笑う。もしかしたら俺は、とんでもない奴に手を出してしまったのかもしれない。けれどそれも、俺と彼の間じゃぁ、大した問題ではないだろう。



娘の周囲はモンペだらけ疑惑

「ソフィーって可愛いけど、変な奴に狙われたりとか大丈夫なのか」
「今は反科学組織もゴミみたいなヤツしか居ないから大丈夫でしょう、ウチの保安部を甘く見ない方が良いよ?」
「イヤ、そっちじゃなくて、男女関係の方で」
「ウチのソフィアに悪い虫が付くだって!?ちょっと誰!?幽霊って呪とか使えないの!?」
「黙れモンペ。ストーカーとか怖いじゃん、痴漢とかそれこそ呪わねぇとだろ?」
「でもソフィアのタイプって自分より強い人だからなぁ」
「ソフィーってそんなに強いのか?」
「ホラ、科学関係者って色々危ないでしょ?だからウチのがソフィアが小さい頃から格闘技仕込んでたし、兄貴は昔取った杵柄で喧嘩必勝法伝授と爆発物取扱講座してたし、ハイジは情報戦仕込んでたかなぁ」
「……お前は?」
「特製麻酔銃作ってあげたよ!!」
「……俺、今からでも宇宙空間の平和利用と倫理について講義してきた方が良いかな……」
「セナは平和主義者だよねぇ」
「お前らが過激派過ぎるんだ」


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死後ヴィンと幽霊セナさん

五年越しのセナヴィンハッピーエンドである。




 
| 00:00 | Unser Haus! | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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