Untitled.短文保管庫。
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チョコレートの箱を開けよ! #04


「たーだいまーぁ!」

無駄に陽気に自分の帰宅を知らせた同居人がリビングへと入ってきた。
あ、コイツ酔ってんな。


ソゴウさんとくのり君  その2


リビングに流れているのはミュージカル映画の代表作と名高い作品。雨の中を傘を回しながら踊るシーンが印象的な名作で、楓が一番好きだと言う映画。
「あ、一人で観てるー観るなら僕も誘ってくれればいいのに!」
「お前これ観出すと踊るんだもん」
「そりゃ観てたら踊り出したくなっちゃうから仕方ないよね」
そう言いながらスリッパを履いた足でパタタタとタップを踏む。スリッパの軽い音で間の抜けたタップを披露する酔っぱらいは画面の中の俳優と同じ動きで同じ歌を歌う。そんな楓は可愛いけれど、たまには一人でじっくり観させてくれ。
パタタパタタパタタタなんて、間の抜けた音で見事なタップを踏み、日本人とは思えない流暢な英語で歌を歌う楓のワンマンショーがはじまる。

 

楓は英語が上手い。それこそ留学でもしてたのかと思うほどに。本人に聞いたら留学はしたことがないと言うことだったけれど。きっと、昔から洋画を観続けてきたから耳が慣れたんだよ。と笑いながら答えていた。どこか異国の血が入ってそうな西洋人のような整った顔立ちから発せられる流暢な英語は楓を外国人のように見せる。そんな事を考えながら楓のワンマンショーを観ていれば、その視線に気づいたのだろうか、ペタンペタンと間の抜けた音を立てながらこちらへ来る。映画はまだ流れたまま。
「僕の素晴らしいタップに見とれてた?」
俺の座るソファの背もたれに手をつき顔を寄せながらニィ、とまるでチェシャ猫のように笑う。
色素が薄いなぁ、とは前から思っていたが、寄せられた顔で部屋の明かりに照らされ煌めく瞳はグリーンで。ああ、コイツの目の色って緑だったんだ。なんて数年来の新発見をしつつも眼前にある額に軽くチョップをかます。
「馬鹿、飲み過ぎだ。水飲んで寝ろよ」
そう返せば面白くなさそうに瞳を陰らせて「とりゃー!」と俺の肩口に顔を埋める。だだっ子か。

 

「I wish I knew how to quit you.」

 

「……は?」
流れるように、日本人がわざと英語で話すような気障っぽさもなく、楓は外人であるかのように自然に英語で俺に言葉を紡ぐ。
「日本語で喋れ、日本語で」
生憎俺は英語が苦手だし、高校時代の英語の成績など目も当てられないような点数を叩き出してたクチだ。
そう言ってやれば、楓はだからだよ、なんて顔を埋めたまま笑う。コイツはいつもそうだ、大切そうな事は全部英語で紡ぐ。まるで、暗号だ。
「チカシには秘密、でも僕はチカシに言いたいからこうやって英語で言うんだー」
えへへーなんて頭をグリグリと押しつけながらくぐもった声で答える。あ、この酔っぱらいもうダメだ。さっさと寝かせないと。
「本当お前酔いすぎだかんな?水飲んで寝ろって、ホラ」
「口移しで飲ませてくれる?」
「そう言うことは彼女か彼氏に言え」
「つれないなー減るもんじゃなしー」
「減る、ぜってー減るから嫌」
断固として拒否すれば、もーしょうがないなーなんて俺を悪者にするような台詞を吐きつつ楓は俺から離れる。

 

「おやすみ、Sweet dreams.」
「ハイハイ、おやすみ」

 

そう言って楓はリビングから部屋へと引っ込んでいった。
ベッドで吐かなきゃいいんだけれども。
 
――――――――――――――――――――

 

くのり君のアタックをガン無視スルーするそごうサンの巻。
そごうサンのオカン属性こわい……

 

こいつら、コレでくっ付いてないんだぜ……?

 

| 20:47 | チョコレートの箱を開けよ! | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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