Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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家へ帰ろう。
 
 
校内の各所で活発に行われている部活動もそろそろ終わりに近付いた時間、受け持っているクラスの女子生徒が、空き教室で恋愛話に興じていた。少女マンガみたいな告白をされたい!と騒いでいた。女子生徒には悪いが、先日同居人であり、家主でもある駿馬が「君と出会えたのはきっと生まれた時からの運命だったんだな」などとクサい少女マンガの告白みたいなセリフを投げかけてた相手はラム肉だった。しかも恍惚とした表情でその肉を捧げ持ってた。正直ドン引きだったのは仕方の無い事だと思う。因みにそのラム肉はめちゃくちゃ美味かった。流石希少種。

そんな夢見る少女達に「早く帰れよー」と帰宅を促していれば、窓の外から聴こえる地面に響くようなエンジン音。まさか、と思い女子生徒達の居る窓際まで駆け寄り、外を眺めれば暗くなった外でも目立つ、ひとつのライト。俺の予想が正しければそれはBMWのオートバイ。それの隣に居る影はバイクに対して少々小柄。「アイツ……来やがったんか……」目立つんだよ!登場の仕方が!!と口の中だけでゴニョゴニョと毒づきながら、その教室を慌てて飛び出した。「お前ら早く帰るんだぞ!」と念押しするのは忘れずに。

「バイクで来るんじゃねぇよ!めちゃくちゃ目立ってんじゃねーか!!」
急いで職員室に駆け戻り、持ち帰り仕事を鞄に突っ込み校門を飛び出せば、すぐそこに停めてあるオートバイとその運転手に物申す。運転手であるもう一人の同居人のヴィンツェンツはフルフェイスのメットを脱ぎ、バサバサになった金髪を手櫛で整えながら、無邪気な子供みたいな笑顔を見せる「セナが迎えに行けってー、それに、ガッコ帰りなんだからしょーがないじゃん!」ヴィンは俺の勤める大学附属高校の隣にある大学に通う留学生で、色々と問題があったが、何だかんだで駿馬の家で一緒に暮らしている。下手したら親子と言ってもおかしく無い年齢差があるのだが、対等で居心地のいい関係を築けている。たまに突飛な行動を取るのだけれども。
「だからってさぁ、俺だってそんな遅くはないんだから、迎えに来なくたって帰れるぞ」
「買い物付き合って欲しかったんだもん、セナが22時ごろ位になるから、アイスバインに合うワイン買っとけって!」
同居人かつ家主の駿馬は研究者にならなかったら料理人やってたかも、なんて自分で豪語する程度には料理好きで腕もある。俺は下手では無いけれど、たまにものすごい失敗をやらかすし、ヴィンに至っては論外だ。その為料理担当は駿馬になって居るのだが、時折こうやって今夜のメニューに合う酒を見繕うようにという指令が下る。今夜はドイツの豚肉料理に合うワインを所望して居るようだ。酒を見繕うのは大抵俺の担当で、更にワインは得意分野だ。
重過ぎない赤ワインを上手いこと見つけておかねば。
「しゃぁねぇな、ワイン買って帰るぞ」
いつの間にか用意されていた二つ目のヘルメットをヴィンの手から奪い被って、慣れてしまったヴィンの後ろに乗る。
「Ja!帰ろ帰ろー」
陽気に返すヴィンはエンジン音を二、三度響かせば、自分よりも大きな愛車を慣れた動作で発進させた。

こんな日常こそが愛おしい、なんて、言葉にしたら笑われるんだろうな。なんて思いつつ、今夜の料理に合わせるためのワインを見つける為に、脳内のワインリストを急いで捲るのだった。

翌日、校内に残っていた女子生徒達にヴィンとの関係を事情聴取された事はまた、別の話。


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サフォーク種のラム肉が美味かったので、セナさんが恍惚としてサフォーク様に甘い言葉を囁いてたらヤバイなと思った記念(長い)
こういうほのぼのとしたササセナヴィンも現パロならアリだよねって。
 
 

 
| 23:11 | Unser Haus! | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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