Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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さいごのよる
 
(現パロササセナのあらすじと言う名の前提)
大学院生だった篠原浩介(ササハラコウスケ)と、入学したてだった瀬波駿馬(セナミシュンメ)が何やかんやと肉体関係を持ち、篠原の就職を機に瀬波宅で同居し始め、恋愛と呼ぶには甘くないような関係をずるずると続けて数年経った頃、恋もましてや愛もなく流されるまま、瀬波の気まぐれで身体を重ねるようなそんな関係の二人。


* * *


嫌になるくらいに降っていた雨は数時間前に上がり、暗雲までもが捌けた空には星が煌めく。そんな夜空の下を俺たちは歩いていた。家から歩いていける程度の距離にある海岸線、しっとりと濡れている砂浜を揃いで買ったレインシューズで踏みしめながら。俺たちの間には海鳴りだけが響いていた。
俺たちには何かあれば海へ向かう癖があり、今回海へ誘ったのは俺の方だった。先を歩く彼の指先にちらつく赤い光点はタバコのもの、それさえなければ彼は闇にかき消されてしまいそうで。

「駿馬」

俺は彼の名を呼ぶ。波の音に消されてしまいそうなその声は彼に届いたらしく、彼は歩みを止めた。
「別れよう」
今度は大きく、波に負けないような声量で、はっきりと告げる。暗い中では彼の表情は見えないが、きっと少し眉を垂れて、困ったように笑ってる。そして彼の告げる言葉は「そんな気はしてた」そう、そんな気はしてた、だ。
「ササハラは真面目だから」
その声はどこか、諦めの色を孕んでいた。そうだ、真面目だからこそこの曖昧な関係に終止符を打ちたかった。愛も恋も囁かず、ただ彼の気紛れで身体を重ねる関係を。「別れる」という言葉すら適応されるか分からないような関係を。
「先輩と後輩には戻れない」
淋しそうに彼は告げる。
「でも、仲の良い同居人になる余地はある」と。
「もう、ああいう事はしないし、寝室も分けよう。だから、だからササハラ……お願いだから、出ていかないで」
縋るような声で、しかし物理的な距離は縮めず、彼は小さな子供のように懇願する。「出ていかないで」と。

ーー正直に言おう、出て行く気でいた俺は、ここで完全に絆された。



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前に創作アカに投下したやつ。
Yogee New Waves の Climax Night 聴いてたら別れる頃のササセナぽかったので。
| 23:09 | Unser Haus! | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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