Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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見えない出口を壊す夜
 
この関係は、一体いつになれば出口が見えるのだろうか。封の開いていないミネラルウォーターのボトルを手に、暗い部屋の、安くて狭いパイプベッドに腰掛けて、何度目になるのか分からない問いを己に問う。答えはいつだって「わかる訳が無い」だ。

俺が腰掛けたパイプベッドの上では、一人の男が一糸纏わぬ姿でブランケットに包まって寝息を立てている。
その男は、かつて男や俺が学生だった時分に先輩だった男であり、俺が初めて肉体関係を持つことになった相手でもあった。切っ掛けは思い出せないけれど、多分サークルの飲み会で酔った勢い、というやつだろう。男は酔うと誰彼構わずキスだったり、それ以上の事を求めたり、普段から自分はバイであると公言しているような男だったのだ。
俺は、そんなフワフワフラフラしている彼が苦手だった。真面目に生きてきた筈の高校までの18年の間に出逢ったことの無い人種だったからだ。

恐らく酔った勢いで身体を重ねたその夜以降も、男は度々気紛れに俺の住むアパートを訪ねては「そういう事」を求め、俺は男を拒絶する事が出来ずにズルズルと流されてそれを受け入れてしまっていた。
俺に彼女が出来ても、気にしないのか、彼女が側に居ないタイミングを見計らったようにフラリと姿を現して、彼女が近くに居る時は絶対に姿を現す事は無かった。男はいつも、大抵誰かと一緒に居るはずなのに、どうしても、独りで居るように見えた。何処か、孤独感が滲んだ空気を纏う男なのだ。

「あれ、起きてたんだ」
そんな事を取り留めもなく思案していれば、男はブランケットに包まったまま身動ぎし、気怠げな、眠たげな、そんな声を俺に投げ掛けた。
言葉を返せないで居る俺に、男は続ける。「キタキ君、俺の事、嫌いでしょ」と。
「そんな事……」
「良いんだ、嫌われるのは慣れてるし。でも君は優し過ぎるから、俺みたいなのに付け込まれるし、俺はこうやって付け込み続けるだけだから」
だから、本当に嫌になった時は、ちゃんと俺から逃げてね。と。

きっと、この人の纏う孤独はこうやって作られて来たんだろう。誰と居ても、相手との間に一線を引いて、誰かに縋らないと心を保てないくせに、縋る相手に逃げろと微笑む。

「……逃げられたら、困る癖に」
「やっぱり君は、お人好しで、大馬鹿野郎だ」
「何とでも言えば良いですよ、俺明日仕事なんで、鍵はまたいつものとこにやっといて下さい」

きっと、出口も入り口もどこにあるか分からない、この爛れた関係を求めたこの男に、俺はもう、絆されてしまっている。

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攻:俺=北沖くん
受:男=名前不明


出口も入り口も見当たらない鬱屈して虚ろなほもを書きたかった結果がこれ。
 


 
| 23:05 | 突発文 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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