Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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ワンダーランドへようこそ!
 
俺は摩訶不思議な物質が飛び交う中を駆けていた。
よく解らない生き物の放つよく解らない物質を受け止めたり避けたり飛び越えたりしつつ、その生き物達を斬ったり撃ったりけちらしたりしながら。
「雑魚には興味有りません! 狙うはボスの首ですよ!」
必死で駆ける俺の隣で涼しい顔でそんなことを言うウサ耳男に俺は叫ぶ。
「ネコ耳スーツとか! 必要なくねぇか!?」
「だって、その姿じゃないと貴方死にますよ?」
だなんて、サラリと言い放つのだ。
こんな摩訶不思議で奇想天外な事案に巻き込まれた経緯は数日前の昼下がりに遡る。
 
 
ワンダーランドへようこそ!
 
 
「貴方が世界を救うのです」
そんな言葉とともに部屋で惰眠を貪っていた俺の前に現れたのは、バニーガール姿の男。唯一の救いは下半身を包んでいたのは短パンだったと言うことだろうか。その男は被っていたシルクハットを脱ぎ、その中から手帳を取り出し俺のことをじろじろ見ながら手帳を開く。驚くべきことに頭に乗っているウサギの耳は直に生えているらしい。耳をゆらゆら揺らしつつ男は手帳を読み上げるように口を開いた。
「猫宮勝己さん。運動神経は抜群ながら、小学生の頃にそのやっかみで苛められた事により運動音痴を装ってる。ほうほう、基本的には運がなく、自分でも僥倖と言えた大企業への就職をするも数年で心を病んで退職、と。現在は貯金を食いつぶしながら無職の一人暮らし、ですか。逸材。本当に逸材ですね貴方」
楽しげに俺の個人情報と過去をスラスラと言い放つ男を俺はベッドの中から呆然と見上げる。逸材って何のことだ。人間と言うものは驚きすぎると何も考えられなくなるようで、そもそも鍵もチェーンもかけられた俺の部屋になぜ入れたのかとか、人の個人情報をどうして知っているのかとか、そもそもその変質的な格好は何なんだとか、色々と突っ込み所があったにも関わらず、その時に俺が反応出来たのはその単語だけだった。「逸材?」と口に出ていたらしい俺に、男はうれしそうにパァっと笑みを広げて答える。
「ええそうです、貴方本当に私が捜し求めてた逸材です。なので貴方は私と共に世界を救うのです」
いや、意味がわからない。とりあえず世界を救うとか、逸材とかゲームの世界のような話を現実世界に持ち込んでほしくないし、他人が怖い俺が、他人を救うなんて意味がわからない。
 
「おや?意味がわからないという顔をしてますね。しかし、これは決定事項ですよ。ここでダラダラと緩慢な死を待つよりも、私と共に闘いましょう、いえ、闘うのです、といった方が正確ですね」
 
ずい、と顔を寄せられた俺はビクリとベッドの逆端まで逃げる。他人と話をするのも怖いのに、目を合わせようとする男の視線と己の視線を合わせることが出来る訳がない。
心を乱すような紅に見つめられて、俺は怖くなって布団を被る。
「仕方ないですね、そのまま聞いて下さい」
ため息混じりに勝手に話し始めた男が話した内容はこうだ。
男はこの世界とは別の世界の住人で、その世界の警察組織のエリートさんだそうだ。で、犯罪者を一カ所に収容していたのだが、ある時誰かの手によってそこの犯罪者がこの世界やまた他の別の世界へと放たれたというのだ。一番タチが悪い犯罪組織がこぞって放たれたのがこの世界で、その犯罪組織によってこの世界が壊される危険性が出てきたからこそエリートである男が派遣されたという事らしい。
だけども、この世界でその犯罪者を抹消、まぁ殺す、という事だけども、それをするにはこの世界の人間の助けが必要らしく、何故か運動神経を買われたらしい俺に白羽の矢が立ったと、そう言うことらしい。はた迷惑な話だ。
「ちなみに、ここまで聞かれた貴方には、二つの選択肢しかありません。大人しく私と共に闘うか、若しくは私に抹消されるか」
生きて闘うか、ここで消されるかの二択を迫られ、仕方なく俺は闘うことを選んだ。流石にハイソウデスカ死にますと言えるほど生きることを棄てた訳では無かったから。
 
契約成立ですね。とにっこり笑った男は布団を奪い、俺の顎をクイ、と持ち上げたと思った次の瞬間キスをしてきた。触れるだけの軽いものだったが。その瞬間に俺は光に包まれてその光が消えたかと思えば俺の姿は一変していた。草臥れたTシャツとスウェットを着てた筈の身体は黒いスーツに包まれ、メガネは消えているのに視界は抜群。本格的におかしいと思って洗面台へと走れば、そこには黒い細身のスーツに身を包み、黒い猫耳を生やし、うっとおしく伸びていた髪も髭も綺麗に整えられた碧眼の男。誰だ、俺なのか。
「やっぱり猫宮だから猫でしたね。思った通り、身綺麗にすれば栄える方でしたし。やっぱり貴方逸材ですよ」
楽しそうに笑みを深める男が後ろに立って満足そうに頷いていた。
「闘い方はこの姿の身体が知っています。身体が動くまま動けば負けませんし、変身は私が貴方に接吻をする事で発動・解除が出来ます。何か質問は?」
「破廉恥だ!」
「そこら辺は一族の掟のような物なので仕方ありません。他は?」
「アンタのその格好、どうにかならないのか」
男のバニーガールはイケメンであっても見たくはない。そう言う性癖じゃないし。短パンと長いソックスの間の絶対領域に当たる白い肌が目に痛い。お気に召しませんでしたか、と男が服の埃を払うような動作をすれば、白いシャツに黒の蝶ネクタイ、黒いベストとスラックスというまだ青年らしいと言える姿へと変わる。小脇に抱えてたシルクハットを被り直せば「さぁ、闘いに行きましょう」と厳重に錠をしたドアを開くのだ。
「……何でその格好も出来るのにバニーガールだったんだ」
「あれは勝負服ですので」
 
ぜったいこいつの住む世界は変態ばっかりだと確信した瞬間だった。
 
 
――――――――――――――――――――
 
 
たぶん続かない。
昔ツイッターで呟いてたツイートを発掘した記念。
「社会からドロップアウトした引きこもり青年が突如現れたバニーガール姿のイケメンに「貴方が世界を救うのです」とか言われてイケメンと共に敵と戦う現代系ファンタジーが降りてきたのだがバニーガール姿のイケメンという時点でイロモノすぎてもう。」
 
| 20:49 | 突発文 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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