Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK |
| CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS |
久しい君に逢えたから。

​「どこの行商人ですか……」
「美味いじゃん、えびせん」
珍しくいつもとは違う支社への出張へ行っていた先輩が家へと帰ってきたと思えば、家を出た時にはビジネスバッグと旅行カバンが一つづつだった筈の彼の荷物が倍に膨れ上がっていた。詳しく言うのであれば、とある航空会社のロゴが入ったレジャーシートに使われるようなビニールで出来ている大型のパッケージと、そこまで大きくはない紙袋が一つづつ。
そして、最初に持っていた旅行カバンには入るだけ詰め込んだとでも言うようなえびせんが詰まっていたのだ。
そして冒頭へと戻る。
「確かに美味しいですけどね、そして先輩がえびせん好きなのも知ってますけどね?」
しかしこれはやり過ぎなのでは無かろうかと、どうしても思ってしまうのだ。リビングで荷物を広げた先輩はえびせんの詰まったカバンから様々な種類がパッキングされたそれをひと袋持ち、ソファの前に置かれているローテーブルへと放る。キッチンからビールと冷えたグラスに灰皿を出し、ジャケットすら脱がずにソファに沈む。スーツのポケットに入っていたらしいタバコとライターをもぞもぞと取り出せば、その紙筒を一本抜き出し口に咥えてライターの火をその先端に灯す。
 
「ちょっと、先輩スーツ位脱いでくださいよ」
「着替えより前にビールとタバコだろ。ホラ、青嗣も来いよ」
10歳上の先輩と言えど同じ屋根の下で寝起きをする恋人である彼に小言を漏らせば彼はそんな俺の小言は何処吹く風とでも言うように2人がけソファの空いた空間である左隣をポンポンとその手のひらで叩く。グラスに注がれたビールを呷りながら俺を呼びつけるのは先輩にしては珍しい行為だった。多分今日の彼は機嫌がいい。
「先輩、今日はご機嫌なんですね」
「そらそうだろ。久々にお前が隣に居るんだからな」
煙を吐きながら彼はそう言って口角だけを上げる笑い方で笑う。無表情か仏頂面がデフォルトな彼がニコニコと笑う事を俺は見た事が無いし、悪巧みをしているような口角だけを上げるその笑みですら同じ屋根の下で数年間一緒に居るはずの俺でもあまり遭遇する事はないものだった。
「煽ってるんですか」
「さぁな」
俺の問いに煙を吐きながら白々しく返す先輩は「そうだな」と言葉を継いで、その首元に巻かれたネクタイをシュルリと抜き取って意味ありげに口角だけを上げて笑う。
 
「動くなよ? 準備してくる」
グラスに残ったビールを一気に流し込み、片手に持ったすっかり短くなってしまったタバコは灰皿へと押し付けられる。そんな先輩を見ていれば俺の両手首を掴み取り、さっきまで彼自身の胸元を彩っていたネクタイを巻き付け思い切り結びながら先程の言葉を口にして、ニヤリと笑う先輩はソファから立ち上がり寝室へと消えてゆく。俺は縛られた両手首を見つめながら彼の唐突な思いつきに振り回される他無いのだとため息を飲み込む。けれど、俺はそんな先輩を嫌いにはなれないのだ。

 

 

——————————————————

 

セントレアでえびせんをアホ程買い込んでキャリーバックに一杯詰めて帰って来たのは本日の狭山である。

えろいおじさんな宇宙さんはよきかな……普段は青嗣くんの押して押して押すカプですが、宇宙さんの気まぐれで青嗣くんを振り回すのを見るのはとても好きです。

 

 

| 21:42 | 飲んで喚いて呑まれて飲んで。 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
Comment








<< NEW | TOP | OLD>>