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それは青春の日々 : 高校二年 夏 / 高校三年 卒業式

高校二年 冬 

 

年末年始で学校自体が閉まっていた三が日も終わり、私たちはほぼ一週間振りに高校の道場で顔を合わせる。

 

「ホント、去年も思ったけどさ、意味わからない位冷えてるよな」
道場の室内計はマイナス値を示し、空間を温める為に存在している筈のストーブは一時間に一度の室温上昇に貢献すれば御の字というこの時期である。私は寒さにボヤきながらジャージから剣道着に着替えれば、家から持って来た筈のそれは既に冷え切ってしまっていた。
「外に居るのと変わらないよねぇ」
 
剣道着に着替え終わっているチカもこの時期だけはストーブにその身を寄せて小刻みに動いてどうにかして熱を発生させようとする。後輩たちも寒さに耐えるような顔で板張りの床に素足が冷たすぎたのだろう。畳の上に避難をする。畳も冷え切っているからあまり変わりはなさそうだけれども。
「お前らあと一週間で全道だぞ? 年末年始で弛んでんじゃないか?」
 
どこぞの武士のような事を言い出すリョーハンはマイナス値に振り切っている道場で寒さに震える私や同期、後輩たちを後目に涼しい顔をして立っている。コイツ本当はサイボーグか何かなんじゃないか? と失礼千万な疑惑を抱きながら「私はリョーハンが平常心でしかないいつもの顔でそこに立っていることが信じられない」と返してやる。
 
「っていうかそもそも全道をこんな年明け早々にやろうっつーのが無理。十二月中に終わらせりゃぁ良いのに何でいつも鏡開き合わせかな」
「年末は忙しいんでしょうが」
「年始は寒いんだよ」
 ぼやき続ける私に、のそりと道場に入ってきた顧問が喝を入れる。
 
「寒いなら身体を動かせ! ホラ、素振り始めるぞ!」
 


***

 

 
高校三年 卒業式
 
 
「これで高校生って身分ともオサラバか」
 
式が終わり、最後のホームルームが終わった直後、ガヤガヤとにぎわう教室内で隣の席に座る笹野は明治大正時代の女学生のような袴姿で気の抜けた言葉を放つ。
 
「そう言えば、笹野も東京だっけ?」
同じ部活であり、笹野とは仲の良かった清藤が同じ大学に行くと声を弾ませていた事を思い出し進路を訊ねれば「いや、市内」とぶっきら棒に返される。思わず彼女の方を見遣ればその横顔は何かを堪えるように一瞬力が入ったように見え、次の瞬間には面倒くさげにヘラリと笑ういつもの笹野に戻っていた。
 
「ナカバは東京だったか」
「清藤と同じ大学な」
 
そう言ってやれば笹野は片方の口端だけを上げ、卒業証書を入れた筒で肩を叩きながら立ち上がる。
「チヒロに宜しく、じゃ、剣道部で道場集まることになってるからコレで」
余韻など残さずに、彼女は教室から一人スタスタと消えていった。
  
これが俺たちの三年間の生活である。

 

 

——————————————————

 

笹野の高校時代の話はとりあえず以上。

また書きたくなったら書きます。

 

 

| 22:53 | 飲んで喚いて呑まれて飲んで。 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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