Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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灯の揺らめく夜に

キャンドルナイトでも無いと言うのに、真っ暗な部屋の中で貰い物のキャンドルに火を灯す。オレンジ色の暖かな色が、揺れる。

時折、電気を消して柄にもないことをしたくなる夜があるのだ。レコード特有の少しだけガサついた、それでいてデジタル化されていないアナログの音を聴きながら、そのキャンドルをくれた君の事を想う。
流れる曲は、失恋を切なく歌うスタンダードで。
君はきっと僕の想いには気づいていないんだろう。その癖、そんな夜に限って電話をくれるのだ。着信を震えながら僕に教える携帯の表示には、君の名前。「もしもし」とその着信に応えれば「また一人キャンドルナイトでもやってるかと思って」という、デジタル化されたクリアな音声が耳に届くのだ。「何で、そんな狙ったようにわかるんだよ」と問えば君は何でもない事のように「付き合い長いからな。お前の事なら何でも分かるよ」と返され、携帯を持つ手に力がこもる。

「何でも、って」

「だってさ、俺ら幼馴染で、親友だろ?」
親友、その言葉が胸に重くのし掛かる。親友の一線を超えた、そんな想いを、感情を、持ってしまった僕にとっては、聞きたくないそんな言葉が。そんな言葉、聞きたくない。と、そう言ってしまいたい心を押し込んで、僕は「そうだね」とゆっくり声に出した。
この想いの所為で、君との関係が途絶える位なら、僕はそれを押し殺す。
 
 
—*—*—*—*—*—*—
 
 
学食ですれ違った時にふと見せた寂しげな表情にああ、またあの周期かな、と一人納得し、その夜にアイツへと電話をかけた。もしもし、と応えるアイツの声の後ろに聴こえる微かな音楽。やっぱりな、と自分の勘に頷きながら「また一人キャンドルナイトでもやってるかと思って」と務めて軽いノリで言葉を声に乗せる。
「何で、そんな狙ったようにわかるんだよ」なんて呆れたような、それでいて笑っているようなそんな声におれも笑みを漏らしながら「付き合い長いからな。お前の事なら何でも分かるよ」と返すのだ。
「何でも、って」言葉に詰まるようなアイツの声に、俺は更に笑みを深めて「だってさ、俺ら幼馴染で、親友だろ?」と、言葉を紡ぐ。小学校から、学部は違えど大学までずっと一緒だった幼馴染がアイツだ。親友と言ってもおかしくは、ない。
 
「……そうだね。」
少しの間の後に肯定の返事、そのまま俺たちは他愛ない会話をし、また明日、と電話を切る。
「お前の事は、何でもわかる。って言っただろ」アイツが一人暗い中キャンドルを付ける事を知った日に、俺はキャンドルを買ってつけて見たし、アイツにキャンドルを贈ったのも、自分がやってみてその寂しさを知ったからだ。暗い部屋の中でそっと揺れるオレンジ色の光を見ながら、一人呟く。
「お前が、俺の事をどう思ってるかなんて、丸分かりなんだよ」

――でも、
「でも、言ってやらねぇからな。お前が踏み出すまで、俺と、お前は、親友だ」
俺の言葉を聞いているのは、オレンジの灯を揺らすキャンドルだけだった。
 
 
————————————————————
 
 
さっきツイッターに上げたのと、その電話の相手。
“僕”の気持ちに”俺”は気付いてて黙ってる。”僕”さえ前に踏み出して気持ちを言葉にすれば”俺”はそれを拒むつもりは無いし、寧ろ積極的に受け容れるつもりで居るという、そんな両片思い。
ここまで書いたので誰か続き、ください
  
(tumblrより移植:2013/12/18)

| 20:38 | 突発文 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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