Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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ながれるほしに、ねがいをかける。

*-*-*
 
Pianoforte. 結城夫妻の場合。
 
「アレ? ルイはもう寝たのかい?」
愛する幼い息子を夢の世界に連れて行ってから、私はベランダに出て空を見つめる夫の元へと向かう。
流星群を見るんだと、眠たそうな息子相手にひとしきり騒いでいたのを私がベランダに追いやったのだ。
「そりゃぁもう、ぐっすり」
そっかーと能天気な相槌を打ちながら星空を見つめる彼に17と言う年の差は感じられなくて、私は彼の横に座って、星空には目もくれず、隣の彼の、空を見つめる真剣な顔を見つめていた。
「でも、こうやって星を見てると思いだすなぁ」
「何を?」
「ウチのバーに来て弾いた、スターダストのメロディ」
「あぁ、バイトの面接の?」
私と彼の出会いは、彼がマスターをやっているバーのバイトの面接だったのだ。
17も年上だった彼の猛烈なアタックに私はやられてしまって今、此処に居る。
「そ、レイの弾く音ってすっごく俺の好みーレイも好みだよー」
そう言って腕を広げて Come on my love! と笑う彼の一連の動作に厭味や気障さは無いのは育ちの所為か、それとも彼自身の性格のせいなのか。
「しょうがないわね、my darling」そう言って彼の腕の中へすっぽりと入り、抱きかかえられる形になる。
「ホント、レイの弾く音も、歌ってる声も、しゃべってる声だって、大好きだよ」
「あなたはどうせ音しか見てないものねー」
そうやっていじければ、彼は笑う。見えてなくても触れている所から伝わる振動で解る。そうして私の耳元で囁くように告げるのだ。
「ルイと同じそのはちみつ色の髪も、俺の腕の中にこうやってスッポリ入る小柄な所も、気が強くて頑張り屋さんな所も、俺と同じで、音楽に一途なところも。大好きだよ?」
私だって彼の奏でるサックスのキラキラした音色や、喋る時の柔らかな声、歌う時の情感たっぷりの深い声色、柔らかな笑顔、その他全部ひっくるめて大好きだけれど、悲しきかな日本育ち。まだまだ彼のようには上手くいかない。
「今度はレイの番だよー」と笑いながら私を抱きしめる彼にそっけなく「レオに押し負かされたのよ!」と言ってしまう。
もしも私が流れ星に願いをかけるなら、愛の言葉を伝える勇気と、貴方と一緒に居れる時間を願いたい。
 
*-*-*
 
昔の話。結城がまだ赤ん坊だった頃の結城の両親の話。
 
*-*-*

 

(tumblrより移植:2012/8/14)

| 20:34 | Pianoforte. | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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