Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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路地裏、喫茶店前にて。

「またやってんのかお前」
 
昼下がり、大きな通りから少し入った裏通り。幸せそうなカップルが喫茶店から出てくる。そんな男女をあんな台詞で引き留めて、懐に入ってる警察手帳を開き、写真と徽章をカップルに――どちらかと言えば女の方に見せる。
男の方はニヤニヤと笑い、女の方はオロオロと男を見る。
「あーお嬢さん、その隣に居る男ね、結婚詐欺の前科持ち、知ってた?」
付き合い始めたばっかりみたいだからお金取られる前に別れた方が良いですよーなんて付けたせば、女は男に平手打ちをかまして一人颯爽とヒールを鳴らして大通りへと去っていくのだ。
「最近の女ってすげぇなー」壁に寄りかかりヒュウと口笛を吹きながらその颯爽とした後ろ姿を横目で見送り、正面を見れば片頬を腫らして居る男の横顔。
「俺の商売道具おもっきし傷つけてくれたよなー、あの女」
「自分の顔面商売道具とか言う時点で残念だとおもわねぇのお前」
「で、捕まえんの俺ン事ってかケージさん相変わらず暇だねぇ」
「逮捕状出てねーし、今日は非番」
「警察手帳持ってるじゃん」
「手帳は基本非番でも携行してんだよ」
へー、と言う男も俺も動こうとはせず、俺はトレンチのポケットに突っ込んであった煙草に手を伸ばす。
「なぁアサギお前火ィ持ってね? ライターガス切れしたんだった」
パッケージから取り出した煙草を咥えながら男――アサギに尋ねる
「さっきのコ煙草嫌いだったから持ってないねー夢を売るオシゴトだからね、女の子に合わせてるの」
「それならもっとマシな仕事しろよ、ホストとかよぉ」
結婚詐欺師が本職とか俺に捕まえられたいのか?と火の付いていない煙草を咥えたままだらだらと喋る。
「ホストもやってるけど? 副業ってヤツ」
「カタギの仕事はするつもりねーのな」
「だってこっちの方が俺に向いてんだもーん」
そう言ってこっちに向かって来たと思えば奪われる煙草、ついでに唇。
 
「――、舌ッ!突っ込むなアホか!!」
やっとの事でアサギを引っぺがし俺は肩で息をする。視線の先には笑顔で舌舐めずりをするアサギ。頭半分はある身長差が憎らしい。
「殴り倒さない辺りケージさん俺に甘いよねー真っ赤ー」
「前科者と言えサツが一般人殴り倒すとか外聞悪いだろうがよ黙れ馬鹿」
「その癖口悪いしぃ」
「元々だっつーか人の話聴いてねェよな聞け馬鹿」
「バカバカ言ってると馬鹿になるよ?」
「うるせぇ、煙草返せっつーか火持ってんじゃねーかよ!」
ニヤニヤ笑いながらキスされるまで俺が咥えていた煙草に煙を立ち昇らせていたのを見て思わず突っ込む。
「詐欺師の言う事真に受けちゃダメでしょーって言うかケージさん俺の事尾行しながらずっとタバコ吸ってたじゃん吸いすぎは身体に悪いよ?」
「おま、それ知って此処……!」
「ケージさんの事はよーく知ってるからねぇ」
こんくらいちょろいちょろいとアサギは笑う。
「一回り以上年上のおっさん捕まえてこんなことして楽しいのかよ」
「ケージさんだからね、ケージさん相手ならお金抜きで夢見せてあげるよ」
 
その気になったら教えてよ、なんて笑ってアサギは俺に背を向ける。
俺はその背中を見送る事しかできなかった。
 
 
——————————
 
 
浅黄怜(アサギリョウ)と三木桂司(ミキケイジ)
結婚詐欺師と刑事さん。
ドロケイが流行りだときいて書いてみたら良くわからなくなった。
多分お互いに矢印はあるんだけど掛け算までにはいってない2人。
 
一回り以上の年の差って美味しいよね。
  
(tumblrより移植:2012/4/16)

| 20:30 | 突発文 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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