Untitled.短文保管庫。
最近は殆どがこっちの更新です。

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それはあの頃のままで。

 

年末年始は流石に帰省しないと親は兎も角兄がうるさい。正月も働きづめだと死んだ目をして言っていた先輩にせめてもの心遣いでお土産のリクエストを聞いた私は今、高校時代を過ごした土地に居る。大学、就職と生まれてから中学生を終えるまで住んでいた向こうの方が地元、という認識はあれど、家族が住んでいるのはこちらだから仕方がない。祖父母の家は向こうにあるのだから親兄弟の方が来ればいいのに、親戚付き合いが疎遠な家族はあまりそういうことに頓着しない。折角だから、と高校の部活のメンバーで飲むことにはなったけれど、どの程度人数が集まるのかもわからない。部内で人数が一番多かったのが私たちの学年だったから恐らく殆どが同期になるのだろうけれど、私もそうだし同期達だって早いものでもう社会人なのだ。

 

「由宇!久しぶりー」
集合場所に少し早く着いた私に声をかけてきたのは同期であった芳沢慧。私よりも少し小柄な彼女の後ろには同じく同期の萩原悠朔。
「慧ちゃん久しぶり。萩原くんも」
「高校卒業以来だよね、変わらないねぇ」
慧ちゃんの言葉に思わず「それは誉め言葉として受け取っていいの」と返せば「着てる服とか変わらないからでしょ」と萩原に突っ込まれる。
「あー、これはあれだ、財布とケータイ持っておけばどうとでもなると思って来ちゃったから着替えが無かった」
日帰り程度の荷物でふらりと来てしまったから、着替えの概念が頭から抜け落ちていたのだ。今着ているのも家にあった高校時代の私服である。それを説明すれば二人は吹き出し大笑いを止めようともしない。
「瑞原、ホンット変わんねぇな!?」
「由宇ちゃんってしっかりしてそうに見えて偶に変なところ抜けてるんだよねー」
萩原も慧ちゃんも好きなように言っていれば、爆笑している二人の事を見つけたのかまた一人、知った顔がやってくる。


「お疲れー、サクも芳原も何笑ってんの?あ、瑞原久しぶり」
そんな言葉と共に片手を上げてやってくるのは倉内祥智。倉内に慧ちゃんが私の失敗を話せば倉内も思わずと言ったように笑う。
「皆して酷くない?」
私がそう言えば三人は三者三様に謝罪を口にする。
「っていうか、他に誰来るの?全く知らないんだけど」
今日のメンツを尋ねれば慧ちゃんも萩原も知らないと言い、今日の幹事であるらしい倉内が口を開く。
「裄と佐波と雪野、桜井、大和に塩島先輩。顧問にも声かけたんだけど、山名先生は来れなくて篠原先生は来れたらって言ってたからたぶん来るかな。あの人意外と付き合い良いから」
倉内が上げたメンバーの名前を脳内で該当する顔と合わせながら、ふと気づく違和感。
「殆ど同期同窓会じゃん。ヤナは来ないんだ?」
「ヤナはなー」
そう言って倉内は言葉を区切り、慧ちゃんと萩原に視線を送る。そうすれば二人とも首を横に振って。
「ま、誰も消息分からないんだよね。進学した専門辞めてその後風の噂でどっか大学入ったって聞いたけど、大和も分からないって言ってたから俺らじゃ全然」
一瞬面くらいはしたけれど、高校を卒業して5年も経てばそうなってもおかしくはない。「消息不明って何やってんだか」思わず出てしまったため息に「じゃぁ瑞原とも連絡取ってないんだ?」と萩原は言う。
「高校卒業以来殆ど誰とも連絡取ってなかったけど?」
偶に来る飲み会の誘いも距離が遠くて毎回断っていた私にめげずに連絡をよこす倉内がすごいのだ。そもそも私は基本的に知り合いと連絡を取ろうとしない。来たら返す、それだけ。
「瑞原のそういうところ嫌いじゃないけど音信不通は一人で十分だからな?」
倉内がそう言って笑えば、私も萩原も慧ちゃんも笑う。
互いの近況を簡単に話しながら、私たちは他のメンバーが集まるのをそこで待つのだ。それはそう、高校時代に試合会場へ向かう為に待ち合わせていた頃のように。

 

 

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帰省瑞原と高校時代の仲間達。ヤナは雨上がりの、に出てきてる。

 

| 23:41 | 飲んで喚いて呑まれて飲んで。 | comments(0) | - | posted by 狭山 |
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